【クリスタ】初心者さん向け 厚塗りイラストメイキング講座(後編)

夏休みに入り「イラストを描いてみたいな」と思っている学生さんも多いのではないでしょうか。

 

イラストって描いたことないし難しそう・・。

 

そんなあなたに向けてイラスト完成までの手順基本的なテクニック

途中で投げ出さないためにはどうすればよいか

イラストレーターのわたしが解説しています。

 

こちらは解説の後編記事です。前編はこちら。

完成作品&今回のポイントまとめ

完成イラスト
完成イラスト
  • 陰やハイライトのレイヤーの合成モードは乗算やスクリーンが定番ですが、イラストの雰囲気に合わせて他の合成モードも試してみましょう。
  • 陰色は灰色ではなく紫を使ってみると自然な感じに仕上がります。赤紫と青紫を使い分けてみるとさらに良いですよ。
  • 主線は灰色や茶色などイラストになじみやすい色を使用し、光が強く当たっている部分は飛ばし気味に、しっかりと見てもらいたい箇所は細かく描き込むと絵にメリハリが出ます。
  • 主線が一色だと浮いてしまうのでところどころ周りの色に合わせた色に変更してあげると線と色がなじみが良くなります。
  • ゴーストやプリズムなど、光のテクニックを使うと簡単に画面が華やぎます。

 

陰・ハイライト

陰を赤紫色を使用して描きます。レイヤーの合成モードは焼き込みカラーです。
陰を赤紫色を使用して描きます。レイヤーの合成モードは焼き込みカラーです。

ひとつのレイヤーにキャラクター全体の陰を描いていきます。

 

人によっては肌の陰なら肌の色を暗くした色を塗り、髪の陰には髪の色を暗くした色を塗り・・という

手順で塗っている方もいるかもしれませんが

このやり方だと色に統一感を出すのが難しくまた手間がかかるので

陰をひとつのレイヤーで全パーツ分を描いてみる方法も試してみるといいと思いますよ。

 

陰色には赤紫色を使用しています。

陰色を塗るときに灰色を使いがちですが紫色の方が自然に仕上がります

 

今回は背景が寒色系(青みが強い色)なのでキャラクターの陰には赤よりの紫を使って

キャラの色を際立たせています。

逆にキャラと背景をなじませたい場合は青よりの紫を使うと良いと思います。

 

レイヤーの合成モードは色を暗くする合成モードを複数種類試したうち、

一番色が濁らなかった「焼き込みカラー」を採用しました。

 

陰なら合成モードは乗算でしょ!って思う方もいるかもしれませんが

乗算だとなんかこの絵には合わないという場合は違う合成モードを試してみる

予想していなかった良い結果が生まれるかもしれませんよ。

 

レイヤーの不透明度もあわせて調整し、自然な陰色になるようにしています。

 

合成モードについてはこちらの記事をどうぞ。

「色のにごりがない」とは

色のにごりがない、というのは「色に灰色が混ざっていない」ということです。

 

にごりがある肌、つまり灰色っぽい肌は不健康や加齢を表します。

元気はつらつなキャラクターを描くときに肌色が灰色よりだと

キャラの性格と肌の色から与えられる印象がちぐはぐになってしまいます。

 

ちなみに「にごった色」つまり「灰色よりの色」というのはカラーサークルの下側に寄っている色のことを言います。

若い女性のキャラを描くときは肌色のにごりには特に気をつけた方がよいでしょう
若い女性のキャラを描くときは肌色のにごりには特に気をつけた方がよいでしょう

 

にごった色をイラストに使ってはいけないということではなく

明るい色を引き立てるために灰色を使うのは効果的ですし、

灰色よりの色を多用したイラストは大人っぽい雰囲気に見えます。

 

若い人が髪の毛を染めるときにアッシュ系の髪色が人気なのは肌が白くきれいに見えるからです。

化粧でもグレイッシュまたはくすみカラーと呼ばれる色が流行っているのも同じ理由です。

 

逆に年齢を重ねた方は肌がくすむ(灰色っぽくなる)ので

アッシュ系の髪色やくすみカラーのメイク・服装よりも明るい色が似合うようになります。

濃い陰

濃い陰は青紫で描き、一番なじみのよかった焼き込み(リニア)で重ねます
濃い陰は青紫で描き、一番なじみのよかった焼き込み(リニア)で重ねます

立体感を出すために一段濃い陰を描き込みます。

薄い陰では赤紫を使用しましたが、濃い陰には青紫を使用しました。

 

青紫を使用した理由は濃い陰の部分は海の青の照り返しを表現するためと

肌に青みが入ることで肌の色のピンク色が際立ちきれいに見えるためです。

ハイライト

白っぽい色でハイライトを入れます
白っぽい色でハイライトを入れます

ハイライトは主に髪に入れます。

日本人は肌の色や肌質的にハイライトは強く入らないので

光が強く当たっているところや肌のハリや丸みを強調したいところにエアブラシでふんわりと入れます。

(肌の色が褐色や黒の人の場合は肌が光を反射しやすいため、丸筆などで強めにハイライトを入れます)

 

逆に日本人は髪に強くハイライトが入ります。髪色が暗く直毛で光を反射しやすいからです。

天使の輪(頭の形に沿って丸く入る光のこと)を描き、

表面に出ている毛束にハイライトを描きます。

主線入れ

Gペン、濃いグレーで主線を入れていく
Gペン、濃いグレーで主線を入れていく

今回は色塗りが終わった後に主線を入れますので、下描きを元に線を入れていきます。

使っているペンはGペンで、濃いグレーで主線を入れています。

 

主線の色は黒よりもグレーや茶色、紺色、えんじ色などイラストになじむ色を使うと良いと思います。

逆に黒だとアニメ塗りっぽく仕上がります。

 

フォーカスポイント(自然に視線が集まる場所)である顔はしっかり線を入れていきますが、

体の線は光が強く当たる場所などはところどころ飛ばし気味に入れます。

主線色変え

合成モードスクリーンで色を変えていく
合成モードスクリーンで色を変えていく

主線のうち印象を弱めたいところや雰囲気的に色を変えたいところに色をつけていきます。

 

色塗りでさまざまな色を使っているのに主線が一色だとアニメ塗りっぽい仕上がりになってしまうので

主線の色をところどころ変えることで絵に線をなじませます

 

合成モードをスクリーンにしたレイヤーで主線をクリッピングし、エアブラシで色を塗っていきます。

 

まつげの目尻側と太ももの下側の線などの色を変えています。

細かい描き込み

瞳の描き込み

瞳はどんなイラストであっても細かく描き込んだ方が良い
瞳はどんなイラストであっても細かく描き込んだ方が良い

瞳はイラストの中で一番目が行く部分なので、細かく描き込んでいきます。

ハイライトや瞳孔への光の映り込みを描き込みます。

 

現実の瞳にはこんな風に光が映り込んだり色が入らないだろというツッコミが入るかもしれませんが

その辺は絵の「遊び」なので、自分が魅力的だと思うように描いて良いと思います。

水着の柄

今回のイラストは水着の柄があることで絵の密度があがり全体的な完成度がグッと上がっています。

 

水着の柄はハイビスカスやヤシの木などの柄を何パターンか描き、それぞれのレイヤーを複製して配置し

クリッピングで水着の範囲に収まるようにしています。

 

クリッピング前後の画像は前編の記事に掲載しています。

効果描き込み

ゴースト

ゴーストは明るい色で描いた円をぼかして明るくする合成モードで重ねるだけです
ゴーストは明るい色で描いた円をぼかして明るくする合成モードで重ねるだけです

ゴーストとは強い光が瞳の中で反射することによって円い光が見える現象のことです。

強い日差しを演出するので夏のイラストにはぴったりの効果です。

 

ゴーストの描き方は明るい色で選択範囲ツールのサブツールの楕円選択で円を描くきます。

描いた円をフィルター>ぼかし>放射ぼかしでぼかしてスクリーンやピンライトなどの

明るくする合成モードで重ねるだけです。

 

簡単ですがゴーストを入れるとエモい感じの絵になるのでぜひ使ってみてください。

光線

光線は明るい色とエアブラシツールを使用して、直線定規で直線を描く
光線は明るい色とエアブラシツールを使用して、直線定規で直線を描きます

光線の描き方も簡単です。

明るい色とエアブラシツールを使用して直線定規で直線を描きます。

 

光線は光源から放射状に出るので光源に収束するように向きに注意してください。

水しぶき

単純なものほど資料を用意して描こう
単純なものほど資料を用意して描いた方が良いです

水の写真を参考にしながら水を描きます。

資料なしでなんとなく描いてしまうと単一的な形になってしまうので資料を用意して描いた方が

本物の水っぽく描けると思います。

 

今回、水の描き方のメイキングを参考に描いたのですが

求める仕上がりとはちょっと違う感じになってしまったので

実物の写真を参考に自分でどう描くかを考えた方が自分のイラストに合った仕上がりになると思います。

プリズム

プリズムはクリスタの配布素材を利用して手軽に描きました
プリズムはクリスタの配布素材を利用して手軽に描きました

少し前から流行っているイラストにプリズムを入れる手法は手軽に鮮やかな絵になって便利です。

 

今回はクリスタの配布素材を使用してプリズムを描きました。

使用した素材は「スパークルブラシ2」です。

ダウンロードはこちらからどうぞ。

CLIP STUDIO ASSETS – スパークルブラシ2

 

こちらのブラシを利用してプリズムを描き、キャラの顔などにかかる部分のプリズムは消しゴムで消しました。

その後レイヤーを複製し、一枚にはぼかしをかけて2枚ともスクリーンで重ねます。

1枚より2枚重ねた方が色鮮やかになります。

最終仕上げ

色調補正

トーンカーブを使用して色を濃くする
トーンカーブを使用して色を濃くする

最後に全体的な色のバランスを調整します。

わたしは淡い色を使って色塗りしてしまうくせがあるのでトーンカーブを使用して色を濃くします。

 

空の色や肌のメイン色などは変更せず、陰などの暗い色を中心に色を濃くしました。

調整後のトーンカーブの画面はこちらです。

色を調整した後のトーンカーブ
色を調整した後のトーンカーブ

トーンカーブは画面の左側が暗い色を右側が明るい色を調整する領域になり、

右ななめ上に走っているトーンカーブ(線)を下げると暗く上げると明るくなります。

 

トーンカーブの詳しい操作が知りたい方はこちらの記事をどうぞ。

まとめ

後半の記事では細かいテクニックを紹介しましたが、

イラストを描く上で一番大切なことは最後まで完成させることです。

 

最後まで完成させるために大事なのはその絵の描きたさを最後の工程まで維持しつづけることです。

 

その絵の描きたさをずっと維持し続けるためには以下のように気をつけると良いですよ。

 

  • 完成まで向かっている実感があること

イラストの中の大きな部分から描くことで手っ取り早く完成感が出ます。

 

  • 上手に描けているなぁという満足感があること

→最初のラフの段階で気に入らない構図やポーズで見切り発車で描き始めると描いているうちに嫌になってきがちです。ラフでは手を抜かないこと!

 

  • 面倒な工程は気力があるうちに片付けてしまうこと(できるだけ最初の方の工程に持ってくる)

→最初の方の工程をきちんとやっていると後の方の工程は楽になってきます。

 

絵が最後まで描き切れたらその絵をぜひ誰かに見てもらいましょう!

家族や友達でもいいしTwitterやPixivに投稿するのも良いでしょう。

「上手だね」って言ってもらえたり「いいね」がもらえたら、さらに創作意欲がもりもり湧いてきます!

 

楽しくイラストを描いて充実した夏休みを送ってくださいね。

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このブログで使い方をくわしく説明しています。

 

クリスタの使い方でわからないことがあったら

わたしのTwitter(@dojinpolaris)の方までお気軽に質問くださいね。