コロナによる外出自粛の影響で2021年1〜3月の売上が減少した中小企業・個人事業者のための
中小法人・個人事業者のための一時支援金(中小法人最大60万、個人事業者最大30万)について、
「同人作家はこの制度を利用できるのかな?」と悩んでいる方も多いと思います。
わたしは個人事業主で同人作家兼イラストレーター・ブロガーをしておりますが
一時支援金の承認が無事おりました。
「でも一時支援金の申請期限で5月末でしょ?間に合わないよ〜」と諦めないでください。
申請期限は当初2021年5月31日まででしたが、
期限までに書類が揃わないなど合理的な理由がある場合は2週間程度期限を延長することが可能になりました。
ただし、5月31日までに申請IDの発行とマイページからの延長申込みを行うことが条件になっています。
本記事で一時支援金申請のつまずきそうなポイントについて解説していますので
この記事を参考にしながら準備すれば延長した期限までにきっと間に合います!
ちょっとだけがんばって一時支援金最大30万円を受け取りましょう!
5/31までに一時支援金の延長申請をし、登録確認機関の事前確認の予約を優先して作業しましょう
- 一時支援金は会社員などが副業で同人活動をしている場合は申請できません。
- 一時支援金の対象は2021年1〜3月ですが、2021年4〜6月については月次支援金の支給が決定しています。
- 一時支援金申請の最難関は無料で事前確認を行ってくれる登録確認機関を探すことです。Google検索を駆使して急いで探しましょう。
一時支援金を申請できる人
「2週間延長なら間に合うかも!わたしも同人作家だし申請しよ〜」となる前に
まずは自分が一時支援金の申請要件を満たしているかを確認してくださいね。
会社員やパート・アルバイト、派遣が副業で同人活動をしている場合は給付対象外
一時支援金はフリーランスなどの事業者が給付対象となっているため、
会社に雇用されている人、
具体的にはサラリーマンやパート、アルバイト、派遣、日雇い労働者は対象外となっています。
対象者は保険証が国民健康保険証の人という表現を一時支援金サイトではされていますね。
継続的に雇用契約による収入がある人はダメということになっています。
会社員やパート・アルバイト、派遣で働いていて副業で同人活動をしている人はNGです。
くわしくは一時支援金 – よくある質問Q25 をご参照ください。
2021年1月~3月いずれかの月の売上が2019年or2020年の同月の売上の50%以下であること
一時支援金を申請するためには2021年1月から3月のいずれかの月が
2019年または2020年の同じ月の売上の50%以下である必要があります。
この売上50%減の説明と給付金額の算出方法を合わせて解説しますね。

上記の表が各年の1〜3月の売上だとします。
まずは2021年の1〜3月の中で一番売り上げが小さい月を探します。
一番売り上げが小さいのは2021年2月の3万円です。
この月は2019年2月の売上10万、2020年2月の売上20万のどちらと比較しても
50%以上売上が減っていますので条件を満たしています。
この月を対象月とします。
つぎに2020年と2019年の1~3月の合計で大きい方を探します。
2020年1〜3月の方が売り上げ合計が大きいので2020年を基準年とします。
2020年1〜3月の売上合計は60万円です。
給付金は上限30万円ですが、誰でも30万もらえるわけではありません。
給付金の計算式は以下です。
給付金(ただし上限30万円)=基準年1〜3月の売上 – 対象月の売上 ×3
今回の場合は
60万円-3万円×3=51万円>給付金の上限30万円 なので給付額は30万円です。
一時支援金は緊急事態宣言により減少した売上を補填するための給付金ですので
2019年、2020年の1〜3月の売上が小さい人の場合は給付額は30万円にならないことに
注意してくださいね。
通販やダウンロード販売のみで同人誌を販売している場合は難しいかも
一時支援金の給付条件は緊急事態宣言に伴う外出自粛等の影響で売上げが減少した事業者が対象です。
- 緊急事態宣言により参加予定の同人誌即売会が中止になってしまった
- 即売会は開催されたが緊急事態宣言の宣言地域内の外出自粛の影響で来場者が減ってしまい売上が落ちてしまった
このような同人作家さんは給付の対象になると考えられます。
即売会に参加せずに通販やダウンロードのみで同人誌を販売している場合は
外出自粛等の影響を受けているとは言えないと思いますので給付を受けるのは難しいように思われます。
ただ給付OK/NGの判断するのは一時支援金の事務局なので実際どう判断されるかはわかりません。
書類の提出&事前確認の期限の2週間の延長について
5/31までに一時支援金サイトから延長申請すれば2週間程度の期限の延長が可能です。
条件は5/31までに以下2つを完了させることとなっています。
- 一時支援金サイトでの申請IDの発行
- マイページでの延長申込みの完了
5/31まであと1週間ないのでできるだけ早く実施しましょう!
2週間延長といっても
登録確認機関での事前確認は2週間より数日短い(具体的な日付は公表されていません)そうなので
MAX2週間申請期限が伸びた!とは思わず、早め早めに行動をしてくださいね。
詳しくは一時支援金 – 申請に必要な書類の提出期限及び事前確認期限の延長に関するお知らせをご参照ください。
6月から受付が開始される月次支援金について
実は緊急事態宣言の影響による2021年4月〜6月の売上減少者向けの支援金についての情報がすでに発表されています。
月次支援金は外出自粛等の影響で2021年4、5、6月の各月の売上が2019年または2020年の同月と比較して
50%以上減少している場合に個人事業者は各月に対して最大10万円の給付を受けることが可能です。
一時支援金と似ていますね。
月次支援金の給付には登録確認機関による事前確認が必要になっています。
ただし一時給付金で事前確認が済んでいると月次支援金での事前確認は省略されるため、
月次支援金の申請が非常に簡略化されます。
一時支援金の申請で事前確認を受けておくと来月以降の月次支援金の申請がグッと楽になりますよ。
一時支援金の申請をサクッと終わらせる6つのポイント
一時支援金の給付対象であることが確認できたら次は最速で一時支援金の申請を終わらせましょう。
わたしが申請した際につまずいた6つのポイントについて、あなたが悩まないように解説していきます。
ポイント1: 一時支援金申請の最大の難関は登録確認機関を探すこと
登録確認機関とは一時支援金の申請内容に誤りや不正がないことを確認するために
一時支援金の事務局とは別に申請内容を確認する機関のことです。
2020年の持続化給付金の給付の際に不正受給が多発したため
事務局以外の機関による申請内容のダブルチェックするために
登録確認機関による事前確認の手順が設けられました。
登録確認機関は以下の検索画面から調べられます。
登録確認機関を探すのがなぜ難しいかというと、
ほとんどの登録確認機関が事前に取引があったり、その会の会員でない人の確認を受け入れていないからです。
もしあなたが税理士に確定申告や記帳をお願いしている場合や
銀行に事業用の口座を持っている場合は税理士や銀行に事前確認を行ってもらえる可能性があるのですが、
そうでない場合は個人事業主は登録確認機関を探すのが非常に難航します。
登録確認機関の中には事前確認に要する手数料が無料のところがあります。
これは経営が困難になっている事業者を助けるための給付金なのに
そんな人たちに多額の手数料を支払わせるわけにはいかないという配慮により
一時支援金の事務局側が登録確認機関に手数料を支払っているためです。
ただし、事務局が支払っている手数料は高額ではないため
登録確認機関の中には申請者から手数料を取るところもあります。
できれば事前確認の手数料が無料の登録確認機関を見つけたいですよね。
では登録確認機関の探し方を見ていきましょう。
当てもなく探していくと時間ばかりかかってしまうので
- 近隣の青色申告会で会員以外に無料で事前確認を行っていないかHP等で確認する(わたしはこの方法で事前確認しました)
- 「一時支援金 事前確認 無料 」でGoogle検索する。事前確認を申し込む際に一時支援金のHPに登録確認機関として登録されているかをキチンと確認した上で申し込みましょう。
- どうしても見つからない場合は一時支援金の相談窓口(一時支援金HPの最下部に電話番号記載)に相談
上記の方法で探してみてください。
事前確認自体はそんなに大変じゃない
登録確認機関が無事見つかっていざ事前確認!となっても何を確認されるのかが不安ですよね。
事前確認で主に行われるのは
2019年、2020年の中からランダムに選んだ月の売上の入金記録(銀行明細)と
その売上の証憑(売上台帳、請求書、領収書)の突合確認です。
そのために必要な書類をちゃんと準備していれば問題なく事前確認を終えることができますよ。
ポイント2: 確定申告書の受付の証跡はキチンとありますか
一時支援金の申請には確定申告書とその確定申告書を税務署が受け取った記録が必要です。
確定申告書はあっても税務署が受け取った記録については
あるかどうかわからないという方は対応が以下の内容を確認してください。
紙で確定申告書を出している場合
確定申告書の控えに収受日付印が押されたものがあればOKです。
ハンコがない場合は納税証明書の交付の手続きが必要です。
もしハンコがないよ〜という方は
今後は確定申告書を紙で提出する場合は必ず控えを印刷し
税務署の窓口に確定申告書と控えの両方を提出して収受日付印を押してもらいましょう。
郵送する場合は確定申告書と控えに加えて返信用封筒を同封します。
返信用封筒を同封すれば収受印を押印してもらった控えを返送してくれます。
収受印付きの確定申告書控えは何かと使用する機会が多いので
ちゃんともらっておいた方がいいですよ。
e-Taxで確定申告書を提出している場合
e-Taxで確定申告書を電子申告した場合はe-Taxの受信通知が税務署受付の証跡です。
e-Taxにログインし、メッセージボックスにある受信通知を画面キャプチャーするか印刷しましょう。
ここで注意が必要なのがメッセージボックスはe-Taxの利用可能時間内でしか開けないことです。
土日はe-Taxは利用できません(確定申告前など一部例外はあります)。
利用可能時間は下記ページで確認してください。
納税証明書の取得方法
収受日付印のある確定申告書控えもしくはe-Taxの受信通知がない場合は納税証明書が必要です。
納税証明書の取得は以下をご参照ください。
Felica読み込み機能つきのスマホとマイナンバーカードを持っている場合は
マイナポータルAPからe-Taxシステムに入って納税証明書の電子申請・受領ができるようです。
ポイント3: 一番悩むかもしれない取引先情報の入力
一時支援金の申請時に必要な書類の中に「一時支援金に係る取引先情報一覧」というものがあります。
緊急事態宣言によって自分の事業がどのような影響を受けたのか、
どのような取引先と取引をしているのかを記載する書類です。
同人作家は緊急事態宣言による外出自粛の影響で
即売会が中止になったり人手が遠のいた影響で売上が減少したわけですが、
これを取引先情報一覧にどのように記載すればよいかを悩む方が多いのではないかと思います。

具体的には上の画像の項目です。
結論から言うと同人作家の場合は(2)-①もしくは③でよいのではないかと思います。
あなたが宣言地域内に住んでいるならば(2)-①に記載されている内容から大きく外れていなさそうです。
困るのが自分が宣言地域外に住んでいて遠征して宣言地域内で開催される即売会に参加している場合です。
その場合は(2)-③が該当するのではないかと思います。
(2)-③には「宣言地域の個人顧客と継続した取引」とあり
実際の即売会には宣言地域外からの参加者もいらっしゃると思いますが、
大体は宣言地域から来ると思うので大きく外れてはいないでしょう。
わたしの場合は(2)-⑤で申請して承認されました。
今改めて内容を読むと(2)-⑤は「事業者に販売」となっているので
同人作家にはあまり適切ではなさそうですね。

取引先情報一覧には2枚目があります。
2枚目には2019〜2021年の取引先のうち緊急事態宣言の影響を受けた会社を記載します。
1枚目で(2)-①、③を選択した場合は取引先は個人になるため記載の必要がありません。
取引先情報2枚目は空欄のまま提出してください。
ポイント4: 法人番号の調べ方
取引先情報1枚目で(2)-④か⑤、
つまり法人相手の取引が緊急事態宣言の影響で売上減少したと申請する場合は2枚目の記入が必要です。
2枚目には企業の法人番号を記入する必要があるのですが、
法人番号の調べ方についてご存じではない方向けに説明しますね。
法人番号は法人格を持っている団体に付与されている一意の番号で
国税庁の法人番号公表サイトで検索できます。
法人番号を調べると同じ名前の企業が複数検索結果に出る場合があります。
その場合は該当の会社のHPの会社概要のページに行って住所を調べ
法人番号の検索結果と突合してください。

ポイント5: 保存書類について

保存書類は一時支援金の申請をする際に事務局に提出する必要はありませんが、
事務局から要求された場合には提出しなければいけない書類です。
また、7年間の保存義務があります。
上の画像は経済産業省が発表している一時支援金の詳細資料の中の保存書類についてのページです。
取引先情報を2-①で提出した場合
上の画像の(A)に該当します。
「個人顧客との継続した取引を示す帳簿書類および通帳」は
参加イベントの売上台帳と売上の入金記録(銀行明細)で大丈夫だと思います。
イベントの売上はすぐに銀行に入金して入金記録を残しておくのが一番良いのですが
過去のことなので入金記録がないなら諦めて今後改善するしかありません。
「商品・サービスの一覧表、店舗写真、及び賃貸借契約書若しくは登記簿」は
宣言地域内の即売会に参加した際に販売した物品一覧(在庫管理表など)とサークル申込書に当たると思います。
取引先情報を2-③で提出した場合
上の画像の(C)に該当します。
「個人顧客との継続した取引を占める帳簿書類および通帳」は2-①の場合と同様、
参加イベントの売上台帳と売上の入金記録(銀行明細)になると思います。
「顧客データ・顧客台帳または自ら実施した顧客調査の結果」については
「宣言地域の個人顧客と継続した取引を行なっていることが分かる」とあるので、
宣言地域内で開催される即売会に複数回参加していることが分かる
サークル申込書で良いのではないかと思いますが、なんとも言えません。
もしくはSNSなどで即売会で自分の本を買ったことがある方に
住んでいる場所が宣言地域かそうでないかをアンケートした結果でも良いのではないかと思います。
保存書類についてまとめ
保存書類について全体的に歯切れが悪いのは
同人作家は店舗を持たず数日間のイベントで不特定多数に本を販売するという特殊な事業形態なので
保存書類の要件にバッチリ合うものがないからです。
用意した資料を保存書類としてOK/NGにするかは事務局の判断ですし
わたしは事務局とは何も関係ない人なのであまり無責任なことは書けません。
判断に迷う場合は一時支援金の相談窓口に相談をしてください。
相談窓口は一時支援金HPの最下部に記載されています。
ポイント6: 同人作家の日本標準産業分類
最後のポイントですのでもう少しがんばりましょう。
一時支援金の申請をする際の申請フォームに記載する内容の中に
日本標準産業分類の中の業種を書く項目があります。
日本標準産業分類とは日本にいろいろある職業についてわかりやすくするために分類したものです。
下記で調べることが可能です。
自分で調べられるんですが結構迷うと思いますので
私の方で漫画家・イラストレーター・小説家の産業分類を調べて記載しました。
漫画家、イラストレーターの場合:学術研究,専門・技術サービス業 > 専門サービス業(他に分類されないもの) > 著述・芸術家業 > 芸術家業

小説書きの場合:学術研究,専門・技術サービス業 > 専門サービス業(他に分類されないもの) > 著述・芸術家業 > 著述家業

申請後、承認されるまでは気長に待とう
一時支援金の申請が終わり承認されて給付されるまでの間は不備がなかったかとヤキモキしてしまいますよね。
申請後、事務局の内容確認が終了すると一時支援金のマイページのステータスが
「申請内容確認中」から「振り込み手続き中」に変わります。
もしなにかしらの不備があれば事務局から問い合わせが来ます。
私の場合は「振り込み手続き中」にステータスが変わるまでに2週間程度かかりました。
人によっては数日〜1カ月近くと幅があるようなので、気長に待ちましょう。
ちなみにステータスが変わったことのメール連絡などはありませんでしたので
ときどき自分でマイページを開いてステータスを確認しましょう。
まとめ
内容に不備や不整合があった場合は事務局から問い合わせが来るので、
申請までにアレコレ悩まずに早めに申請してしまった方が良さそうです。
これから一時支援金を申請しようとしている人は
- 5/31までに一時支援金の延長申請
- なるべく早く登録確認機関を見つけて事前確認の予約を入れる
このふたつを優先して終わらせましょう!