トーンカーブを使いこなして簡単に絵のクオリティをアップしよう【クリスタ】

カラーイラストを描き終わって最終調整をするときに、

そういえばプロのイラストレーターさんはトーンカーブを使って最終調整をしていたな・・・

と思い出して、とりあえずトーンカーブを使ってみたけど

  • 色味がめちゃくちゃになって、肌の色や髪の色が元のキャラとはかけ離れた色になってしまった!
  • 逆に絵のアラが目立つようになってしまった!
  • いろいろ調整してみたけどなにがなんだかわからずに時間だけが過ぎていく!

こんなこと、ありませんか?

わたしはめっちゃあります

そもそもトーンカーブってどうやって調整したら良いのかを

解説しているイラスト技法書はあまりなく、

クリスタの公式でもトーンカーブについてはサラッと説明を流してしまっているため、

トーンカーブの調整方法を知らなくてもしょうがないことなのです。

でもトーンカーブを使いこなせるようになると

  • 出来上がったイラストのトーンカーブをちょっといじるだけでグンと見栄えが良くなったり
  • 空気感や光を表現した雰囲気のあるイラストが描けるようになったり
  • 色彩にまとまりがある絵をトーンカーブをフル活用して短時間で描けるようになったり

と非常にメリットが大きいのです。

ある程度イラストが描けるようになって

さらなる絵のクオリティアップを目指したい人にとって

一度じっくりトーンカーブについて学ぶのは

他の絵描きさんとの差をつける良いチャンスになるかもしれませんよ?

本記事では

  • トーンカーブってそもそもなに?
  • トーンカーブってどういう仕組みなの?
  • 実際イラストを描く際にトーンカーブをどう活用するのか

を解説していきます。

本記事を読むと「トーンカーブってなんかよくわからない・・・。」から

「トーンカーブってそういう仕組みなのね!」とスッキリ理解できますよ。

目次
  1. 【結論】トーンカーブはイラスト全体のコントラストや色味を調和を取りながら調整する方法です。
  2. トーンカーブの説明に入るまえに その1:RGB
    1. RGBとは
    2. RGBで白と黒を表現するには
    3. RGB まとめ
  3. トーンカーブの説明に入るまえに その2:補色
    1. 補色とは
    2. 補色のRGB値
    3. 補色まとめ
  4. クリスタのトーンカーブは2種類ある
  5. トーンカーブの仕組み
    1. サンプルイラストの説明
    2. トーンカーブ画面の説明
    3. 線が右ななめにまっすぐってどういうこと?
    4. トーンカーブで右半分の輝度を上げた場合
    5. トーンカーブ左半分の輝度を下げた場合
    6. チャンネルを「Red」に変更
    7. Redチャンネルの入力255の出力を0に変更
    8. Redチャンネルの入力0の出力を255に変更
    9. チャンネルを「Green」に変更
    10. Greenチャンネルの入力255の出力を0に変更
    11. Greenチャンネルの入力0の出力を255に変更
    12. チャンネルを「Blue」に変更
    13. Blueチャンネルの入力255の出力を0に変更
    14. Blueチャンネルの入力0の出力を255に変更
    15. RGBチャンネルで線の角度を右下がりにすると
  6. 全体的に明るくする
  7. 全体的に暗くする
  8. コントラストを強くする(明るいところをより明るく、暗いところをより暗く)
  9. コントラストを弱くする(全体的に均質な階調に)
  10. 明るく補正される部分を増やす
  11. 暗く補正される部分を増やす
  12. 写真をトーンカーブで補正する
  13. 補正の基本的な手順
    1. RGBチャンネルで全体の調子を整える
    2. Blueチャンネルで黄色の量を減らす
    3. Redチャンネルで陰の紫っぽさを減らす
    4. Greenチャンネルで葉の緑を強調する
    5. RGBチャンネルで全体の調子を整える
  14. トーンカーブ調整前後の比較
  15. まとめ
  16. その他の色調補正機能の解説記事
  17. まだクリスタを持っていないあなたへ

【結論】トーンカーブはイラスト全体のコントラストや色味を調和を取りながら調整する方法です。

  • トーンカーブを理解するにはRGBで白と黒を表現する方法と補色について知る必要があります
  • クリスタのトーンカーブは2種類あります。基本的には「色調補正レイヤーとしてのトーンカーブ」を使用してください。
  • トーンカーブを左上に寄せると全体が明るくなり、右下に寄せると全体が暗くなります。
  • トーンカーブをS字にするとコントラストが強くなり、逆S字にすると均質な階調になります。
  • トーンカーブはちょっとだけ変更するのがコツです。大きく変更すると元の色味からかけ離れた色になります。

トーンカーブの説明に入るまえに その1:RGB

RGBとは

RGBとは、R(Red:赤)、G(Green:緑)、B(Blue:青)をかけ合わせて色を表現する方法です。

RGBはテレビやスマホ、パソコンの画面などで色を表現するために使用されています。

CMYKとは

RGBと一緒にCMYKという用語も聞いたことがあるかもしれません。

CMYKは印刷物で色を表現するために使用されています。

C(Cyan:シアン)、M(Magenta:マゼンタ)、Y(Yellow:イエロー)、K(Key plate:キープレート、黒)を混ぜて

印刷物のさまざまな色を表現します。

RGBで白と黒を表現するには

RGBでは黒は(0,0,0)、白は(255,255,255)と表現されます
RGBでは黒は(0,0,0)、白は(255,255,255)と表現されます

トーンカーブの仕組みを理解する上でまず知っておいて欲しいのは

RGBで白と黒をどう表現するかです。

RGBで色を表現するとき、

R(Red:赤)、G(Green:緑)、B(Blue:青)のそれぞれについて、

0から255までの間のいずれかの値を取ります。

0から255の値が何を意味するのかというと、その色の輝き(輝度)を表しています。

  • 最低値の0は輝きがゼロ
  • 最高値の255のは輝きがMAX

RGBで黒を表現する場合、

R(Red:赤)、G(Green:緑)、B(Blue:青)はすべて0(最低値、輝き0)です。

これをRGB値で(0,0,0)と表します。

RGBで白を表現する場合、

R(Red:赤)、G(Green:緑)、B(Blue:青)はすべて255(最高値、輝きMAX)です。

これをRGB値で(255,255,255)と表します。

RGB まとめ

モニターで色を表現するにはRGBという方法を用います。

RGBで黒と白は以下のように表します。

  • 黒はRGB(0,0,0)
  • 白はRGB(255,255,255)

トーンカーブの説明に入るまえに その2:補色

補色はカラーサークル上の正反対に位置する色です
補色はカラーサークル上の正反対に位置する色です

補色とは

補色とは、カラーサークル(色相環)で正反対に位置する色の組み合わせのことです。

上の図では赤(255,0,0)のカラーサークルの正反対に位置する色は水色(0,255,255)ですね。

補色のRGB値

RGBはR(Red:赤)、G(Green:緑)、B(Blue:青)の3つの色の組み合わせであると先ほど学びました。

R(赤)とG(緑)、B(青)、それぞれのRGB値は以下のように表されます。

  • R(赤):(255,0,0)
  • G(緑):(0,255,0)
  • B(青):(0,0,255)

それぞれの色の値は最高値(255)でそれ以外の色の値は最低値(0)になります。

つぎにR(赤)とG(緑)、B(青)のそれぞれの補色である水色、ピンク、黄色のRGB値を見てみましょう。

  • 水色:(0,255,255)
  • ピンク:(255,0,255)
  • 黄色:(255,255,0)

もしかして、もう法則を気づいちゃいましたか?

並べてみましょう。

  • R(赤):(255,0,0) ー 水色:(0,255,255)
  • G(緑):(0,255,0) ー ピンク:(255,0,255)
  • B(青):(0,0,255) ー 黄色:(255,255,0)

赤(255,0,0)と補色の水色(0,255,255)は、RGB値が逆になっていますよね。

他の色も同様です。

補色まとめ

補色のRGB値はその色のRGB値が逆転した値になります。

クリスタのトーンカーブは2種類ある

前置きが長くなりましたが早速本題のトーンカーブの説明に入りましょう。

トーンカーブと一口に言っても、クリスタには

  • そのレイヤー自体の色味を編集するトーンカーブ(編集>色調補正>トーンカーブ)
  • 色調補正レイヤーとしてのトーンカーブ(レイヤー>新規色調補正レイヤー>トーンカーブ)

の2種類のトーンカーブがあります。

基本的には2つ目の「色調補正レイヤーとしてのトーンカーブ」を使用してください。

理由は色調補正レイヤーでトーンカーブを編集すれば

もしうまく調整できなかったらレイヤーを削除すれば元通りの色味に戻すことが可能だからです。

レイヤー自体の色味をトーンカーブで編集した場合、

変更した後しばらくたって

やっぱり元の色味に戻したいな・・・。

となっても、ヒストリーに残っていなければ戻すことができません。

そのレイヤー自体の色味を編集するトーンカーブ(編集>色調補正>トーンカーブ)
そのレイヤー自体の色味を編集するトーンカーブ(編集>色調補正>トーンカーブ)
色調補正レイヤーとしてのトーンカーブ(レイヤー>新規色調補正レイヤー>トーンカーブ)
色調補正レイヤーとしてのトーンカーブ(レイヤー>新規色調補正レイヤー>トーンカーブ)

トーンカーブの仕組み

ではトーンカーブの説明に入りますね。

左側がトーンカーブ、右側がサンプルのイラスト
左側がトーンカーブ、右側がサンプルのイラスト

サンプルイラストの説明

サンプルイラスト
サンプルイラスト
  • りんごの上半分にR(赤)とG(緑)、B(青)がそれぞれ塗ってあります。
  • りんごの下半分はそれぞれの補色の水色、ピンク、黄色が塗ってあります。
  • りんごの左半分には白色でハイライトが、右半分には灰色で陰がそれぞれ塗ってあります。

この絵に対してトーンカーブをかけていってどのように色味が変化するのを見ていきます。

トーンカーブ画面の説明

トーンカーブを開いたときに表示される、なにも設定を変更していない画像です。

画面上部 チャンネル選択

画面上部にある「RGB」は編集するチャンネルの選択です。

「RGB」「Red」「Green」「Blue」から選択します。

画面下部 入力

画面の下側、数学で言うならX軸を見てください。

X軸には「入力」と記載があり、左から右へ0から255の値が振ってあります。

「入力」というのは元の絵のRGB値という意味です。

0から255の値は輝度を表します。

画面左端 出力

次にトーンカーブの画面左側、数学で言うY軸を見てみましょう。

「出力」と記載があり、下から上へ0から255の値が振ってあります。

「出力」というのはトーンカーブを編集後の絵のRGB値という意味です。

「入力」の場合と同様、0から255の値は輝度を表します。

グラフ

他にはグラフには右ななめ上に向かって線が伸びていますね。

この線をどのように変更するかがトーンカーブのキモです。

線が右ななめにまっすぐってどういうこと?

今は右ななめ45度にまっすぐ線が伸びています。

  • 線の上の入力が0の部分は出力の値も0です。
  • 線の上の入力が255の部分は出力の値も255です。
  • 入力が100なら出力も100だし、入力が230なら出力も230です。

RGBで輝度が0は黒のこと、輝度が255は白であるということをあなたはすでに知っています。

右ななめにまっすぐな線は

  • 元の絵で黒のところはトーンカーブ編集後も黒
  • 元の絵で白のところはトーンカーブ編集後も白

ということを表しているということです。

ならばこの線をぐにゃぐにゃ曲げてみたら?

元の絵で黒だったところを白くしたり、元の絵で白だったところを黒くしたりできるかもしれませんね!

トーンカーブで右半分の輝度を上げた場合

トーンカーブ画面右側の輝度をあげるとサンプルイラストの灰色の線が白くなりました
トーンカーブ画面右側の輝度をあげるとサンプルイラストの灰色の部分が白くなりました

ではちょっとだけトーンカーブの線を変更してみましょう。

線の右半分を上側に寄せてみました。

画像の赤丸の枠の部分です。

そうするとサンプルイラストは灰色で描かれた線がなくなってしまいました。

なくなったのではなく白色になっています。

灰色の線のRGB値はX軸の「入力」と「255」の間くらいの値でした。

灰色の線の出力を255(白)に変更したため灰色の線が白色になった、というわけです。

トーンカーブ左半分の輝度を下げた場合

線が下側に寄ると全体が黒っぽくなる
線が下側に寄ると全体が黒っぽくなる

線の左半分を下側に寄せてみました。

もともと真っすぐ45度に走っていた線が全体的に下側によりましたね。

サンプルイラストをみると全体的に黒くなっているのがわかります。

これは出力の値が全体的に輝度0(黒)に寄ったため、

画面全体が黒っぽくなったというということです。

チャンネルを「Red」に変更

チャンネルを「Red」に切り替える
チャンネルを「Red」に切り替える

今まではチャンネルは「RGB」で線を操作してきました。

「RGB」のチャンネルではイラストの中の白と黒の要素を調整できるということがわかりました。

次にチャンネルを「Red(赤)」に切り替えてみましょう。

チャンネルに切り替える前にその他のチャンネルで行った設定はリセットしています。

すでに気づいているかもしれませんが、

グラフには線以外に縦軸グラフのようなものがあることがわかりますでしょうか。

これは絵の中にその輝度の色がどれくらい使用されているかを示しています。

「入力」と「255」の間にすごく小さい赤色の山があり、

「255」に高い赤色の山があるのがわかります。

最初の小さい山は灰色の線の中に含まれる赤要素です。

高い山はりんごの中の赤、ピンク、黄色に含まれる赤要素を表しています。

Redチャンネルの入力255の出力を0に変更

Redチャンネルの入力255の出力を0に変更
Redチャンネルの入力255の出力を0に変更

右ななめ45度に走っていた線の右端を一番下まで落としてみます。

入力で赤の輝度255だった色の出力を赤の輝度0に変更するという操作です。

Rが255だった色の変化を見てみましょう。

  • 一番左のりんごの上半分:赤(255,0,0)→黒(0,0,0)
  • 真ん中のりんごの下半分:ピンク(255,0,255)→青(0,0,255)
  • 一番右のりんごの下半分:黄色(255,255,0)→緑(0,255,0)

その他の色は変わっていません。

いや絶対真ん中の上半分が黄色(255,255,0)だろ!でもそれだと理屈に合わない・・と思ってスポイト(表示色を取得)で調べたんですが、緑(0,255,0)でした。
もともと白色背景だったのが水色に変わっているのと、わたしの使っているパソコンの画面の関係で緑が黄色に見えているみたいです。
黄色に見えるがRGB値では緑色
黄色に見えるがRGB値では緑色

Redチャンネルの入力0の出力を255に変更

Redチャンネルの入力0の出力を255に変更
Redチャンネルの入力0の出力を255に変更

右ななめ45度に走っていた線の左端を一番上まで上げてみます。

入力で赤の輝度0だった色の出力を赤の輝度255に変更するという操作です。

Rが0だった色の変化を見てみましょう。

  • 一番左のりんごの下半分:水色(0,255,255)→白(255,255,255)
  • 真ん中のりんごの上半分:緑(0,255,0)→黄色(255,255,0)
  • 一番右のりんごの上半分:青(0,0,255)→ピンク(255,0,255)

その他の色は変わっていません。

チャンネルを「Green」に変更

チャンネルを「Green」に切り替える
チャンネルを「Green」に切り替える

次はチャンネルを「Green」に切り替えてみましょう。

チャンネルに切り替える前にその他のチャンネルで行った設定はリセットしています。

「Red」チャンネルのときと同じく

「入力」と「255」の間にすごく小さい緑色の山があり、

「255」に高い緑色の山があるのがわかります。

最初の小さい山は灰色の線の中に含まれる緑要素です。

高い山はりんごの中の水色、緑、黄色に含まれる緑要素を表しています。

Greenチャンネルの入力255の出力を0に変更

Greenチャンネルの入力255の出力を0に変更
Greenチャンネルの入力255の出力を0に変更

右ななめ45度に走っていた線の右端を一番下まで落としてみます。

入力で緑の輝度255だった色の出力を緑の輝度0に変更するという操作です。

Gが255だった色の変化を見てみましょう。

  • 一番左のりんごの下半分:水色(0,255,255)→青(0,0,255)
  • 真ん中のりんごの上半分:緑(0,255,0)→黒(0,0,0)
  • 一番右のりんごの下半分:黄色(255,255,0)→赤(255,0,0)

その他の色は変わっていません。

Greenチャンネルの入力0の出力を255に変更

Greenチャンネルの入力0の出力を255に変更
Greenチャンネルの入力0の出力を255に変更

右ななめ45度に走っていた線の左端を一番上まで上げてみます。

入力で緑の輝度0だった色の出力を緑の輝度255に変更するという操作です。

Gが0だった色の変化を見てみましょう。

  • 一番左のりんごの上半分:赤(255,0,0)→黄色(255,255,0)
  • 真ん中のりんごの下半分:ピンク(255,0,255)→白(255,255,255)
  • 一番右のりんごの上半分:青(0,0,255)→水色(0,255,255)

その他の色は変わっていません。

チャンネルを「Blue」に変更

チャンネルを「Blue」に切り替える
チャンネルを「Blue」に切り替える

次はチャンネルを「Blue」に切り替えてみましょう。

チャンネルに切り替える前にその他のチャンネルで行った設定はリセットしています。

「Red」「Blue」チャンネルのときと同じく

「入力」と「255」の間にすごく小さい青色の山があり、

「255」に高い青色の山があるのがわかります。

最初の小さい山は灰色の線の中に含まれる青要素です。

高い山はりんごの中の水色、ピンク、青に含まれる青要素を表しています。

・・・そろそろ飽きてきましたでしょうか。

理論はもうちょっとで終わりです。がんばりましょう!

Blueチャンネルの入力255の出力を0に変更

Blueチャンネルの入力255の出力を0に変更
Blueチャンネルの入力255の出力を0に変更

右ななめ45度に走っていた線の右端を一番下まで落としてみます。

入力で青の輝度255だった色の出力を青の輝度0に変更するという操作です。

Bが255だった色の変化を見てみましょう。

  • 一番左のりんごの下半分:水色(0,255,255)→緑(0,255,0)
  • 真ん中のりんごの下半分:ピンク(255,0,255)→赤(255,0,0)
  • 一番右のりんごの上半分:青(0,0,255)→黒(0,0,0)

その他の色は変わっていません。

Blueチャンネルの入力0の出力を255に変更

Blueチャンネルの入力0の出力を255に変更
Blueチャンネルの入力0の出力を255に変更

右ななめ45度に走っていた線の左端を一番上まで上げてみます。

入力で青の輝度0だった色の出力を青の輝度255に変更するという操作です。

Bが0だった色の変化を見てみましょう。

  • 一番左のりんごの上半分:赤(255,0,0)→ピンク(255,0,255)
  • 真ん中のりんごの上半分:緑(0,255,0)→水色(0,255,255)
  • 一番右のりんごの下半分:黄色(255,255,0)→白(255,255,255)

その他の色は変わっていません。

RGBチャンネルで線の角度を右下がりにすると

RGBチャンネルで線の角度を右下がりにすると階調の反転になる
RGBチャンネルで線の角度を右下がりにすると階調の反転になる

チャンネルを「RGB」に戻して、

もともと右上がりだった線を右下がりに変更してみましょう。

入力の輝度0(黒)を出力の輝度255(白)に、

入力の輝度255(白)を出力の輝度0(黒)にする操作です。

サンプルイラストの白黒が反転したのがわかります。

では理論編はここで終了です。

次からは実際にイラストにトーンカーブを適用するときにどういう操作をすれば良いかを解説します。

全体的に明るくする

線を左上方向に引っ張ると全体が明るくなる
線を左上方向に引っ張ると全体が明るくなる

イラスト全体を明るくしたい場合はRGBチャンネルで線を左上方向に引っ張ります。

出力の輝度が全体的に255(白)に近寄るため、イラストが明るくなります。

全体的に暗くする

線を右下方向に引っ張ると全体が暗くなる
線を右下方向に引っ張ると全体が暗くなる

イラスト全体を暗くしたい場合はRGBチャンネルで線を右下方向に引っ張ります。

出力の輝度が全体的に0(黒)に近寄るため、イラストが暗くなります。

コントラストを強くする(明るいところをより明るく、暗いところをより暗く)

線がS字になるように調整するとコントラストが強まります
線がS字になるように調整するとコントラストが強まります

線がSになるように調整すると明るいところをより明るく、暗いところをより暗くなり

絵全体が締まった感じになります。

この方法がトーンカーブで一番使うテクニックだと思います。

ハイライトや陰のグラデーションもよりなめらかになっているのがわかりますね。

S字もグイーンと曲げるのではなく、ちょっとだけ曲げる感じで大丈夫です

トーンカーブを大きく変えると色が大幅に変化してしまい

せっかく塗ったキャラの固有色がかけ離れた色に変化してしまう可能性があるためです。

コントラストを弱くする(全体的に均質な階調に)

線が逆S字になるように調整するとコントラストが弱まります
線が逆S字になるように調整するとコントラストが弱まります

線が逆S字になるようにすると明るいところを暗く、暗いところを明るくすることができ

絵全体が均質な階調になります。

淡いトーンの絵を描きたい場合は逆S字はいいかもしれません。

サンプルイラストではグラデーションはすこし汚い感じになってしまっていますね。

明るく補正される部分を増やす

線の中心を左側に寄せると明るく補正される部分が増えます
線の中心を左側に寄せると明るく補正される部分が増えます

出力の輝度256(白)側に寄せる線の部分を増やすと、絵の中の明るく補正される部分が増えます。

暗く補正される部分を増やす

線の中心を右側に寄せると暗く補正される部分が増えます
線の中心を右側に寄せると暗く補正される部分が増えます

出力の輝度0(黒)側に寄せる線の部分を増やすと、絵の中の暗く補正される部分が増えます。

写真をトーンカーブで補正する

では今まで学んできたトーンカーブの知識を使って写真を補正してみましょう。

元の森の写真
元の森の写真

今回はこちらの森の写真を使います。

元の写真は全体的に黄色く空気がよどんでいる感じですね。

こちらを空気がきれいな感じの神秘的な森の写真に変えてみたいと思います。

またイラストやゲームの背景に使えるように情報量を少なくしてごちゃつきをなします。

補正の基本的な手順

基本的な手順としては

  1. RGBチャンネルで全体の調子を整える
  2. 個別のチャンネル(Red、Green、Blue)で色を調整する
  3. RGBチャンネルで最終調整をする

の順に調整していきます。

RGBチャンネルで全体の調子を整える

RGBチャンネルで全体の調子を整える
RGBチャンネルで全体の調子を整える

まずは写真全体の調子を整えます。

全体的にモヤがかかって白っぽいため、コントラストを高めて情報を少なくします。

線の始点を輝度0(黒)に、終点を輝度255(白)にグッと近づけます。

こうすると線の角度が大きくなりますので、

もともと黒っぽかった色は黒に近づき、白っぽかった色は白に近づきます。

Blueチャンネルで黄色の量を減らす

Blueチャンネルで線の終点を輝度255(青)に寄せます
Blueチャンネルで線の終点を輝度255(青)に寄せます

元の絵がかなり黄色っぽいので、黄色の量を減らします。

黄色は青の補色ですのでBlueチャンネルで操作します。

白いモヤ部分からは黄色を除去したいですが木の葉からは黄色を除きたくないので

線の始点は動かさず、線の終点部分を出力の255に近づけます。

これで白っぽい部分の色からのみ黄色が除去されます。

Redチャンネルで陰の紫っぽさを減らす

Redチャンネルの線を右下に寄せて赤を抜く
Redチャンネルの線を右下に寄せて赤を抜く

Blueチャンネルの操作で木の陰が紫っぽくなってしまったので、陰から赤を抜きたいと思います。

紫は青と赤の混色ですので、Redチャンネルを操作します。

始点に近い部分を右下にひっぱり、黒っぽい部分の赤の輝度を0の方向に近づけます。

これで陰の赤が水色に寄りますので陰の紫っぽさがなくなります。

Greenチャンネルで葉の緑を強調する

Greenチャンネルの線を左上に寄せて緑を強調する
Greenチャンネルの線を左上に寄せて緑を強調する

Blueチャンネルの操作で全体的に青っぽくなってしまいました。

これだとぱっと見で森に見えない可能性がありますので、木の固有色の緑を強調します。

Greenチャンネルで線の真ん中を左上にちょっとだけひっぱり、全体的に緑色を少しだけ強くします。

RGBチャンネルで全体の調子を整える

コントラストを強めてモヤの黄色を飛ばし、陰を強くします
コントラストを強めてモヤの黄色を飛ばし、陰を強くします

さあ最終調整です。

Greenチャンネルで緑色を調整したらモヤの黄色が少し復活してしまったので、

RGBチャンネルの終点を上に寄せて白色を強くします。

また陰になる部分を増やして写真全体を単純化するために始点を下に寄せて黒の部分を多くします。

これで調整は完了です。

トーンカーブ調整前後の比較

トーンカーブ調整前
トーンカーブ調整前
トーンカーブ調整後
トーンカーブ調整後

調整前後の写真を見比べてみていかがでしょうか。

トーンカーブで修正するだけでガラッと印象を変えることができましたね。

まとめ

トーンカーブの仕組みはわかりましたでしょうか。

キャラクターがメインのイラストの場合、トーンカーブのRGBチャンネルをちょっとだけS字に修正すると

コントラストが強くなりパッと華やかな絵になります。

「ちょっとだけ」がキモです。

大胆に変更してしまうとせっかく塗った色が台無しになってしまいます。

背景付きのイラストの場合、塗りのときに色選びをちょっと失敗してしまっても

RGBの各チャンネルを上手に調整すれば狙った雰囲気のイラストにすることができます。

トーンカーブを調整するときに大事なのは、

調整する前にどういった雰囲気にしたいかを頭の中で明確にすることです。

トーンカーブをいじりながらいい感じにしようとすると

時間ばかりかかってしまいますし、色味がめちゃくちゃになってしまいます。

仕組みを知らないと使っても振り回されるばかりだったトーンカーブも

理論を知った今なら上手に使いこなせるはずです。

まずはこの記事を読みながらじぶんでトーンカーブをいろいろ操作して

トーンカーブの使い方を習得しましょう!

その他の色調補正機能の解説記事

こちらの記事もぜひ読んでみてくださいね。

まだクリスタを持っていないあなたへ

クリスタ(正式名称はClipStudio)は漫画やイラストを描くためのソフトです。

iPad版も発売されておりパソコン版と同じ機能が使用できます。

 

はじめてデジタルで絵を描こうとしている人には

クリスタは扱いが難しすぎるのでオススメできません。

 

しかし

  • SNSで自分の絵がいっぱい拡散されて人気者になりたい!
  • 将来的にプロの漫画家やプロのイラストレーターになりたい!
  • 同人誌を作って即売会で同じ趣味の仲間と交流したい!

こんな人にとってはクリスタを使いこなせることは大きな強みです。

 

まだクリスタを持っていない人はまずは無料体験で使ってみましょう。

iPad版は3カ月間無料、iPhone版は毎日1時間無料です。

 

無料体験後はiPad版は月額480円〜、iPhone版は月額100円〜で利用ができますよ。

ペイントソフト CLIP STUDIO PAINT 無料体験版のダウンロード

使えるようになるまでちょっとハードルが高いクリスタですが

このブログで使い方をくわしく説明しています。

 

クリスタの使い方でわからないことがあったら

わたしのTwitter(@dojinpolaris)の方までお気軽に質問くださいね。