今回の記事はオフィスチェアの次のトレンドになるかもしれない(?)低座後傾スタイルについてのお話をします。
この記事を最後まで読むと低座後傾とはなんなのか、低座後傾スタイルのメリット・デメリットがわかるようになりますよ。
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絵描きのオフィスチェア選びをサポートする記事のまとめページです。...
低座後傾スタイルとは作業ではなく思考のための着座姿勢。身体への負担が少ないため長時間集中力を維持できる。
- 前傾姿勢は絵描きの身体を壊していく要因にしかならない。後継姿勢を取れる製品を積極的に使っていた方がいい。
- 低座後傾スタイルを実現する代表的な製品群はオカムラのCruise and Atlas(クルーズ アンド アトラス)。代表というより現状日本で手に入るのはこの製品しかない。
低座後傾とは
低座後傾とは椅子の座面を低くし身体を大きく後ろに倒す姿勢のことです。
身体への負荷が軽いため、長時間にわたって集中力が必要な仕事をしている人にピッタリの姿勢です。
この姿勢はオカムラと慶應義塾大学理工学部 山崎信寿教授との共同研究に開発されました。
低座後傾になると直立座位よりも椅子が身体に接する面積が広くなるため体圧が分散されます。
その結果として長時間座っても身体が痛くなりにくくなり、脚のむくみを軽減する効果があります。
低座後傾を実現するためには、机もそれにあった高さである必要があること、天板が傾いた方が腕や肩への負担が少ないことから専用の机が用意されています。
オカムラのCruise and Atlas[クルーズ アンド アトラス]カタログページ
なぜわたしが低座後傾スタイルに興味があるのか
前傾姿勢ってめっちゃ身体辛いのにいつのまにかに前傾姿勢になっている
あなたは身体が前に斜めになっている前傾姿勢と椅子の背もたれにもたれている後傾姿勢のどちらが楽ですか。
圧倒的に後傾姿勢の方が楽ですよね。
でもいつの間にか前傾姿勢になっていることってありませんか。
パソコンの画面に表示されている文字が小さくて読めなくて前傾になったり、椅子の上であぐらをかいていると自然に前傾姿勢になったり。
頭の重さは体重の約10%といわれています。
前傾姿勢になると体重の10%の重さの頭を首と肩で支えることになるのでめっちゃ辛い。
しかも漫画家やイラストレーターって1日に10時間くらい作業するのがザラで、その間ずっと前傾姿勢だったら肩こり・首こり悪くなる一方です。
こちらの記事で書いたのですが、漫画家・イラストレーターは前傾チルト機能必要と書かれている椅子紹介記事がネット上に多く見つかるのですが、デジタル絵描きは前傾機能は必要ありません。
前傾姿勢の人は後傾姿勢に積極的に移行した方がいいと思います。
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わたし自身も前傾姿勢をずっと続けたせいで身体を壊したことがあるので、本当に前傾姿勢はやめた方がいいです。
強制的に後継姿勢にしてくれる椅子が欲しい
モニタが見にくくて前傾姿勢になるならばモニタの解像度を見直すことで解消できます。
椅子の上であぐらをかきたくなるのは脚がむくむからなので、もも裏を圧迫しないようにフットレストを導入して足裏が床にビタっとつける環境にすれば改善されます。
それでも前傾するわたしの身体。多分、筋肉や体幹が弱いからなんでしょうね。
身体を鍛えることは別途やるにしても、強制的に後傾姿勢にさせる椅子が欲しい。
そんな時に興味を引いたのが低座後傾を実現するオカムラのCruise and Atlasです。
できるだけ心臓の位置と身体の各部位が平行になってほしい
iPadや液タブで長時間作業をする人は気をつけて欲しいのが腕の位置。
心臓より高い位置に腕をあげた状態をずっと続けると腕がだるくしびれてきて絵がかけなくなってきます。
iPadや液タブを垂直に近づけるほど首や肩は楽になるのですが、今度は腕に支障が出てきます。
低座後傾になると心臓と腕の高さの差が小さくなるため、腕のしびれにも効果があるんじゃないかと思います。
低座後傾スタイルのメリット
①作業ではなく思考・創造のための姿勢
低座後傾は例えば手元にある紙の内容をタイピングで文字や数字におこすような「作業」には向いていません。
オカムラのカタログによると低座後傾は自分の頭を使って文章を起こす「思考」や「創造」のための姿勢なのだそうです。
近年は思考を伴わない「作業」はAIなどの機械に次々と置き代わり、人間の仕事は機械にはできない「思考や創造」を行うものに切り替わってきています。
「思考」「創造」のためには身体の負荷を減らしリラックスした状態である必要があり、その状態に適しているのが低座後傾スタイルです。
②長時間作業ができる
「作業」ならば与えられたタスクが完了すれば終了です。
「思考」「創造」に伴う作業は限りがありません。
原稿の締切という強制的な区切りがあれば時間的にそこに達すれば終了ですが、それがない場合は自分で区切りをつけない限りは永遠に作業は続きます。
「思考」「創造」を行う人は身体の負担を少なくし長時間作業ができる状態である必要があります。
「低座後傾とは」で記載したように、低座後傾姿勢は直立座位姿勢よりも体圧が分散されることで身体への負荷が少ないため長時間の作業を可能にします。
低座後傾スタイルのデメリット
①低座後傾スタイルを実現できる製品が少ない・高価
低座後傾をネットで調べるとわかりますが、ほとんど商品や記事が出てきません。
これは近年デスクトップPCよりノートPCが主流になったため、ノートPCの低い画面を見るには低座後傾が適していないため製品がほとんどないというのが現状です。
オカムラのCruise and Atlasで椅子と机を揃えると新品だと30万くらいしてしまうのが現状です。
ただ、ノートPCだけでは作業が捗らないため外付けモニタを導入する企業も多く、今後の主流は変わってくると思います。
②机が傾斜しているので置けるものが限られる
低座後傾用の机として販売されているCruiseは天板が最大10度前に傾斜します。
この傾斜により腕や肩への負担が軽減されていますが、ゴム足の滑り止めがついたものでないと机上に置けないというデメリットがあります。
食べ物・飲み物を置きたい場合は袖机などを用意する必要がありますね。
まとめ
現状流行っているとは言えない低座後傾ですが、絵描きとの相性は悪くないように思います。
ただし低座後傾がいくら楽とはいえど適度に休息をとったり姿勢を変えたりすることは身体のために重要です。