同人誌を作る時、描き始めの時点ではだいたいの人がページ数が多くなりがちです。

描いているうちに締切までに間に合わないからと

大幅にページをカットしたり

ページをカットすると話の辻褄が合わなくなる場合は仕上がりが雑になったりするのは

同人作家あるあるネタです。


そもそも締切までの時間や自分の絵を描く能力に対して客観的に判断して

ページ数を決めればいいのに・・・とこれを読んでいる方は思うかもしれませんが

それは非常に難しいことなのです。


本記事では原稿の作業量を見積もるのがなぜ難しいのか、

どのように同人誌のページ数を決めれば良いかを詳しく解説しています


本記事を読むと無理のないページ数を設定でき、余裕を持って原稿作業を行えるようになりますよ。



【結論】初めての同人誌のオススメのページ数は20ページ。8ページは用途が決まっているので、漫画や小説を使用できるページ数は12ページ。

初めての同人誌は慣れないことだらけなのでハードルできるだけ低くする

締切が先であればあるほど作業時間が多いわけではない

たとえばあなたが参加したいイベントが半年後だとしましょう。

半年先だからだいぶ時間があるし、ある程度厚みのある同人誌を作れそうと思うかもしれません。

わたしもそうなのですが、厚い同人誌ってかっこよくて憧れるんですよね。

締切が3ヶ月後であっても半年先であっても原稿を開始する時期は同じくらいになる人が多いです。

これはわたしもそうですし、わたしの周りの人をみていても大体こんな感じです。

まだ時間があるから作業を始めなくても大丈夫という風に思ってしまいがちなのです。

普通の同人誌のかたちになるのは最低20ページから

後ほど「ページ構成の基本」で詳しく記載しますが、一般的な同人誌のかたちになるのは最低20ページからです。

なので最初は20ページを目標にするのが良いと思います。

もし締切よりもだいぶ早く描き終わってしまった場合、早期割引で印刷代を安くするのもよし、間に合いそうならページ数を増やすのもよしです。

締切より早い分にはいくらでもアレンジのしようがあります。


一般的な同人誌とは

一般的な同人誌のかたちというのは表紙は厚めの紙にフルカラー印刷されていて、本文は薄い紙に単色印刷されたものを指します。

印刷所の基本セットもだいたいこのような仕様になっている場合が多いです。

ページ数を算出できる計算式はあるのか→ない

もしあなたがコツコツ毎日作業できる人の場合は自分にあった現実的なページ数を算出してみたいと思うかもしれません。

普通に考えればページ数は以下のような計算で求められそうです。

ページ数=(締切までの日数×日々の平均作業時間-余裕時間)÷1ページあたりの平均作業時間

ただ、この数式でページ数を算出するのは現実的ではありません。

数式の中の「1ページあたりの平均作業時間」を算出するのが困難だからです。

自分の1ページあたりの平均作業時間を計測するのは難しい

あなたがストップウォッチを使用して作業時間を正確に計算し平均作業時間を計測したとしても、その値から締切までに描きあげられるページ数を計算し実際に描き上げるのは非常に難しいといえます。

なぜなら1ページの中のコマの数や描き込みの程度により作業時間は長くなったり短くなったりしてしまうからです。

物語の緩急や場面の演出のためにどうしてもそうなってしまいます。

人の平均作業時間ほどあてにならないものはない

ときどき、短期間で同人誌を作成した人の実録漫画などをPixivでお見かけすることはあります。

読む分には非常に楽しいものですが、その内容を自分で再現することはほぼ不可能です

人によってはほとんど下描きなしで一発でペン入れができる人もいますが、多くの人はある程度下描きを描き込まないとペン入れができません。

単純な線で構成されたキャラを描く人とリアルよりの絵柄の人の作業時間がまったく違うのは想像しやすいと思います。

1ページに10コマ詰め込んだページと、全てのコマが文字だけのモノローグでベタ背景のページだったらかかる時間は全く違うでしょう。

このように1ページあたりの平均作業時間を算出するのは非常に難しいことがお分かりいただけると思います。

同人誌になる最低のページ数は何ページか

初心者はできるだけハードルを低くすべきという書きましたが、では同人誌の一番低いハードルは何ページになるのでしょうか。

何ページになるのかを説明するのと合わせて、同人誌印刷に必要な基礎的な知識も説明していきます、

本のかたちになるのは最低8ページ以上

図のように一般的な本のかたちになるには最低8ページが必要です。

印刷所のセットの最低ページ数はだいたい20ページ

最低8ページで本の形にはなりますが、印刷所のセットパックはだいたい20ページからの場合が多いです。

20ページから場合が多いのは以下の理由です。

  • 20ページより薄いと無線綴じで綴じることが技術的に難しい
  • 中綴じで綴じると表紙の厚みにより本が勝手に開いてしまう場合があり見栄えがあまりよくない
  • 刷り上がった同人誌の原価がページ数に対して割高になってしまうため需要がない

無線綴じ、中綴じとは

同人誌の背を糊で綴じる場合を無線綴じ、ホチキスで綴じる場合を中綴じと言います。

ページ構成の基本

ページ数のうち8ページは基本的に用途が決まっているため、自由に使えるのは12ページ

ページ数には表紙のページ数が含まれている

同人誌でページ数を数える場合は表紙のページ数もカウントします。

表紙を1ページ目、表紙の裏が2ページ目、本文3ページ目・・・という風な感じです。

表紙をカウントに入れるのはちょっと不思議な感じもするかもしれませんが、「まぁこういうもんなんだな」と思っていただければと思います。

ページ数が20ページの場合は表紙が4ページ、本文が16ページということになります。

なお、表紙の裏と裏表紙の裏を表紙2、表紙3と言いますが、ここは通常は印刷されないページなります。

印刷したい場合は表紙23印刷オプションで追加料金をとる場合がほとんどです。

本文の開始2ページと最後の2ページは扉絵と奥付で使用する場合が多い

本文については必ずこうしないといけないというわけではないのですが、以下のようなケースが多いです。

  • 本文の開始2ページは扉絵(注意書き)と前書き
  • 最後の2ページは後書きと奥付

この中で奥付以外は必ずそうしなければいけないものではないのですが、後述する理由によりこのような構成になっている同人誌が多くなっています。

理由①基本的に漫画や小説は左ページ始まり、右ページ終わりのため

漫画雑誌などを読むと、大体の漫画が左ページから始まっているのに気づくと思います。

これは視線誘導的に左ページ開始の方が人の注目を引きやすいからという理由があるようです。

終わりのページが右ページなのは漫画が偶数ページにすることが多いためですが、開始ページほどこだわっている人はいないような印象です。

理由②表紙から本文の最初のページが透けてしまうことがあるため

表紙の用紙が薄い場合や白っぽい絵の場合は表紙から本文が透けて見えるときがあります。

透けていると見栄えが悪くなるため、最初のページは透けてもあまり影響を与えないような文字だけのページ(注意書き)にする場合が多いです。

遊び紙を入れる場合は透けを気にする必要はありませんが、セットの内容によっては遊び紙は有料オプションになっている場合もあります。

奥付は省略できない。奥付に記載する内容は決まっている

同人誌を発行する際に奥付については省略することはできません

これはその同人誌の責任の所在を明確にするためでイベントの参加要項などに記載がされています。

守っていない場合はイベントで同人誌の頒布ができないペナルティを受けたり、印刷所から印刷を断られる場合もあるようです。

奥付に必要な項目は以下6つです。

  • 本のタイトル
  • 発行者(ペンネーム)
  • 発行(サークル名)
  • 発行年月日
  • 連絡先(メールアドレス、HPのURL)
  • 印刷所名

奥付に1ページ使わなければいけないというルールはない

どうしても奥付用の専用ページを用意できない場合、見栄えが悪くなりますが漫画や小説の最終ページの一番下に奥付を記載する方法でも大丈夫です。

途中ページに奥付を入れてるのは適切でないとされています。

まとめ

20ページ以上の同人誌にチャレンジしてみたい人はやってみてもいいと思いますが、ページ数が多くなるほど完成させる難易度は飛躍的に難しくなっていきます。

まずは1冊同人誌を完成させる経験をしてから試してみるのがいいと思いますよ!